可撤式装置の種類

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日本矯正歯科専門医名鑑 
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日本矯正歯科専門医名鑑制作委員会

 


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可撤式装置 

 可撤式装置とは、患者様自身で外したり付けたりが簡単にできるような構造になっている装置という意味です。それに対して固定式というのは、セメントや接着材で止めてあって、簡単には外れないようになっている装置という意味です。中間的なものとしては、基本的には固定式になっているが、治療毎に調節する必要がある装置の場合、部品が簡単に外れるようなアタッチメントと言われる着脱式の部品があらかじめ付いていて、患者様は外せないが先生は簡単に外せるような構造になっているものもあります。接着材を毎回破壊して外すのは、術者にも患者様にも負担になるためこのような構造が好まれる場合もあります。
 また、装置の種類によっては、固定式の部分と可撤式の部分に構造が分かれているものもあります。たとえば、ヘッドギヤのように装置を付ける部品(バッカルチューブ)は歯に固定されているが、矯正力を作用させる部分は、自分で取り付けるような装置です。
 可撤式装置は、自分で外せるというのが大きな利点で、患者様にとつては気楽にできそうなイメージがありますが、当然のことながら使っている時間しか効果がありませんので、外してばかりでは効果が望めません。 

E.O.A.(顎外固定装置)

chincap.jpgチンキャップ 「イーオーエー」とはExtra Oral Anchorageの略です。要するに、口腔外に装置が出ているものを言うので、英語を直訳すれば「口腔外固定装置」と言うべきなのですが、日本語の述語としては「口腔外」というのを「顎外」と言います。
 すべての構造が顎外にある装置というのは「チンキャップ(オトガイ帽装置)」と言って、小児の骨格性下顎前突症の治療に用いる装置しかありません(ただしこの装置は最近ではあまり用いられません)。その他の顎外固定装置は、顎内の部品と顎外の部品の両方で構成されています。


ヘッドギヤ(ホリゾンタルプル)

#170.jpgヘッドギヤの基本はまっすぐ後ろに牽引力をかけるタイプです。これを水平牽引タイプ(Horizontal pull type)と言います。
 
・使用目的について
 
①発育期の小児に用いる場合は、上顎骨の発育抑制と下顎骨の発育を前下方へ誘導するために用います。②発育期を過ぎて用いる場合は、上顎大臼歯をより後方に移動したり、手前に傾斜するのを防止するために使います。特にマルチブラケット装置と併用する場合は、この装置を使うことを前提にマルチブラケット装置がデザインされている場合があり、ヘッドギヤを装着していただけないと、マルチブラケット装置も十分に機能しないこともあり得ますので、担当医の説明をよく聞いて納得した上で必ず使用して下さい。自分で取り外しできますが、できるだけ長く付けていた方が効果的です。一日の内で装置を付けていた時間と外していた時間を比較して、付けていた時間の方が長くなるようにして下さい。夜寝ている時間が一番長く連続して使えますので、忘れずに付けて下さい。
 骨格性の上顎前突症や、凸凹の程度がひどく隙間が極端に不足している症例を根本的に治すのにもっとも効果のある装置です。
 
・使用方法について
 
innerbow.jpgフェイスボウの内部 フェイスボウ(ボウとは”棒”のことではなくbow、つまり弓のことです。形が弓に似ているからです)は、上顎大臼歯のほっぺた側に取り付けられた、金属製の小さなトンネル上の穴(バッカルチューブ)に差し込んで使います。きちんと差し込めるようコツをつかむまで練習しましょう。フェイスボウを取り付けたら、ヘッドキャップをかぶりゴムでつなぎます。ゴムの大きさと、引っかける位置は症例によって異なりますので、担当医の指示をよく聞いて下さい(間違って使用すると逆効果になることもあります)。ゴムは丈夫なものですが、長期間引き延ばされていると徐々に弾性が失われてきますので、一週間に一度くらい交換して下さい。食事、歯磨き、入浴などの時間は付けられませんので外して下さい。また外に出かけるときや、学校に行くときも無理せずに外していただいて結構ですが、家にいる時間は、就寝中以外でもなるべく使うよう努力しましょう!
 

違うタイプのヘッドギヤ

HGnaname.jpgハイプルタイプneckband.jpgロープルタイプホリゾンタルプルタイプは、ゴムをかける部分がいろいろあるので上方にも下方にも様々な方向に牽引することが可能ですが、製作が少々煩雑なのと見た目が大げさなので、上方に牽引する時と下方に牽引する場合には、帽子の部分をより簡単な構造にする場合もあります。ハイプルタイプは「ハイプルヘッドギヤ」、ロープルタイプは「ネックバンド」と言います。
 


・重要!
ゴムを付けたままフェイスボウを引っ張るのは絶対にやめて下さい!手を離すとフェイスボウが急激に口腔内に引き戻されて歯肉やほっぺたの裏側に刺さる恐れがあります。
 

上顎前方牽引装置

facecrib.jpg・使用目的について
 
 上顎骨の前方への発育を促進する事により、上顎歯列を外側に出すための装置です。自分で取り外しできますが、できるだけ長く付けていた方が効果的です。一日の内で装置を付けていた時間と外していた時間を比較して、付けていた時間の方が長くなるようにして下さい。夜寝ている時間が一番長く連続して使えますので、忘れずに付けて下さい。
 上顎骨の発育能力がある成長期にしか基本的には使えません。女子の場合は10歳まで、男子の場合は12歳までが目安となり、なるべく低年齢で始めた方が弱い力、短い期間で治ります。骨格性の反対咬合の場合、早い症例だと3〜4歳くらいからこの装置で治療を始めます。きちんと使用すると早い場合6ヶ月目くらいから顕著な効果が見られ、上の歯が外側に出てきます。上顎を外側に牽引する反作用で、下顎を後方に押し返しているので下顎の前方への成長発育を抑制する効果もあります。骨格性の下顎前突症を根本的に治すのにもっとも効果のある装置です。
 
mpaplateue.jpgカバータイプ(咬合面)mpaplateyoko.jpgカバータイプ(側面)LAspring.jpgリンガルアーチ


・使用方法について
 
 口腔内にセットしてあるゴムを引っかける部分は、①自分で取り外しのできるカバータイプになっている場合と、②上顎の裏側に針金が固定式でついている場合、と両方のタイプがあります。この部分の使い方については担当医からよく説明を聞いて下さい。いずれにしても口腔内に引っかけたゴムを外側のフックに引っかけて使います。就寝中使用したゴムは、長時間引き延ばされて弾性が失われていますので、朝外したときに捨てて下さい。つまりゴムは一日ごとに交換するようになります。
 食事、歯磨き、入浴などの時間は付けられませんので外して下さい。また外に出かけるときや、学校に行くときも無理せずに外していただいて結構ですが、家にいる時間は、就寝中以外でもなるべく使うよう努力しましょう!
 
・お手入れについて
 
 取り外しのできる口腔内装置を使っている場合は、歯ブラシの時に歯磨き粉を付けずに簡単にこすって水洗いをして下さい。一週間に一度くらい、入れ歯洗浄剤で洗浄除菌すると、清潔できれいになり安心です。熱に弱い装置なので、お湯の中には絶対入れないで下さい。はずしたときにはすぐに専用ケースに入れて下さい(紛失・破損の防止のため)。
 固定式装置が上顎に入っている場合は、そのまま普段通りに歯ブラシをして下さい。
 外側のフレームが汚れたときは、軽く拭くか洗って下さい。フエルトが汚れたときは、張り替えて下さい。

床矯正装置(アクティブプレート)

expplateset.jpg拡大床activeplate.jpg大臼歯後方移動用 床矯正装置の「床」とは、英語ではプレート(板という意味)といい、歯の裏側の歯茎の部分に沿うように、プラスティック(歯科用レジン製)の板が覆っている装置のことです。要は歯の部分をくりぬいた入れ歯のような形をしている装置だと思ってください。このプラスティックの板の中に、スプリングやスクリュー型のネジを組み込んで作用させる装置です。
 歯列全体を拡大したい場合は、左右に分割した板の中央にネジを組み込んで徐々に拡大させるという形になり、奥歯を後方にずらしたいときには、動かしたい部分のところだけに作用するようネジを付けます。したがって、動かしたい部分、方向により様々なデザインの床矯正装置が作製されます。

保定装置

 マルチブラケット装置で歯を動かす治療(動的治療)が終了したあとで、歯並びが後戻りしないように押さえておく期間のことを「保定」といい、その時使う装置のことを「保定装置」と言います。
 

ベッグタイプ

beggsetue.jpg 抜歯症例の場合、抜歯した部分が後戻りして隙間が生じるのを防止するため歯並び全体を包み込むように、ワイヤーが取り囲むデザインの保定装置が使用される場合があります。このデザインをベッグタイプのリテーナーと言います。
 

ホーレータイプ

 多くの場合後戻りしやすいのは前歯部なので、ここを重点的に押さえて臼歯部はフリーにしてあるタイプをホーレータイプのリテーナーと言います。ホーレータイプもベッグタイプも構造的には歯を動かす装置が付いていない床矯正装置と言えます。
 

クリアリテーナー

kuriapress.jpgプレス機kuriaRatugo.jpgプレス直後kuriaRkiru.jpgハサミで切断kuriaRkansei.jpg完成通常のリテーナーは、0.8-0.9mmくらいのワイヤーが歯の表面を覆っているので、審美性をより考慮する場合は別の選択をする場合もあります。近年は、プラスティックの素材が非常に進化してきているので、かなり薄く加工してもそれなりの強度が得られるようになってきました。そこで、歯の表面を薄い透明なプラスティックで、密着する形で全部覆ってしまうタイプのリテーナーが好んで使用されています。このタイプを「クリアリテーナー」と言います。
 多くの可撤式装置は、レジンというプラスティック素材を重合硬化させて作製するのですが、この装置は専用のプレス機を用いて圧着成形で作製します。
 
*その他のリテーナーとしては、歯の裏側にワイヤーを接着してしまう固定式のものを選択する場合もあります。

インビザライン、クリアライナー

kuriaRset.jpg クリアリテーナーを応用し、少しずつ変形させて動かしたい方向に歯を矯正する治療法があります。インビザラインとかクリアライナーとか呼ばれる方法です。すべてのケースに適応ではありませんが、より審美的に治療するための一つの方法です。