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日本矯正歯科専門医名鑑 
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日本矯正歯科専門医名鑑制作委員会

 

 


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日本矯正歯科学会専門医ができるまで


 矯正歯科の歯科医師として一人前になるまでには、長い修行の日々が必要となります。大学歯学部を卒業するのに6年間、臨床研修医を1年経た後、大学の矯正歯科で基礎修練2年、指導医の下で最低3年勉強した後、認定医となり、さらに最短でも5年以上修行を重ねたのち日本矯正歯科学会専門医試験に合格してようやく「専門医」となります。
 日本矯正歯科学会では、認定医と指導医を審査は認定医委員会が、専門医の選抜は専門医委員会がそれぞれ管轄しています。専門医委員会の委員と試験委員は公表されていません。これは試験に情実が絡むことがないように万全を期すためです。委員名、試験委員名は任期が終了して初めて公表されることになっています 。
LinkIcon矯正歯科医の種類

日本矯正歯科学会専門医になるまでの道程

歯科医師になるまで

 まず当然ですが、矯正歯科医になる前に歯科医師になる必要があります。日本において歯科医師になるためには、大学の歯学部歯学科を卒業する必要があります。現状では国立大学11校、公立大学1校、私立大学17校が歯学部を開設しています。一般的な学部は、通常最低修業年限が4年ですが、医学部、歯学部、薬学部においては6年制を取っています。
 大枠としては、最初の2年が教養科目、次に2年が基礎歯学、最後の2年が臨床歯学なのですが、最近は国家試験の難化に伴い、専門科目を前倒しで教えるところが多くなり、1年次から基礎歯学が始まるところもあるようです。かつては6年生は臨床実習と称して、監督教員の下で実際に治療する時間があったのですが、近年では資格を取る前の実習での治療行為が問題視されてきたことから、臨床実習は治療介助が主体となっています。
 したがって実際には卒業後、国家試験に合格して歯科医師の免許を取っても、ほとんど治療能力がないままなので、卒後臨床研修を一年以上受けないと開業することができない仕組みとなっています。
 それに伴い、矯正歯科医になるためには、かつては卒業後すぐに大学の医局に入局したのですが、いまは卒後臨床研修終了後に各大学の歯科矯正学教室に入局して研修医となります。

矯正歯科基礎研修を終えるまで

 大学卒業後、臨床研修を一年以上行い、研修内容を無事クリアすると正式に歯科医師として自由に行動できるようになります。この時点で各大学の矯正学教室の入局試験を受けなくてはなりません。いろいろな歯科の専門科の中では、矯正歯科は現状ではなかなか人気のある競争率の高い分野ですので、希望すればそのまま入れるわけではありません。矯正の臨床研修は、時間と費用のかかる研修ですので、各大学の医局も指導する研修医の数は制限しています。入局試験は、各大学で様々でしょうが、矯正学の試験、文献を読みこなすための語学試験、ある程度の手先の器用さを知る試験などを課していると思います。
 入局試験に合格して矯正歯科研修生になると、各指導医の下で基礎研修を行います。基礎研修内容については、日本矯正歯科学会のガイドラインがあり最低限身につける内容がおおよそ決まっています。日本矯正歯科学会では、最低2年、基礎研修機関において基礎研修を行うことを義務づけておりますが、大学の医局においては、2年では基礎研修を終えることは難しいと考えて、3年コースとなっているところもあります。現状では、学会の認めた”基礎研修機関”は大学医局しかありませんので、矯正歯科専門医を目指す歯科医は、どうしても大学の矯正歯科医局で基礎研修コースを修了する必要があります。

日本矯正歯科学会認定医になるまで

 基礎研修を修了した後は、最低3年の臨床研修をする必要があります。そのまま大学に残って研修を続けるのが一般的ですが、指導医または専門医がいる病院、診療所で働きながら臨床研修をすることも可能です。ただし、臨床研修機関は、日本矯正歯科学会が認めたものに限りますので、どこでも良いというわけではありません。また、臨床研修についても、学会の設定した研修のガイドラインがあるのでそれに則った研修を受ける必要があります。ただ3年経過すればいいと言うわけではありません。
 ここまで来て、最終的に指導医または専門医が認定医試験の受験を認めて、初めて認定医の試験を受けることができます。歯学部で6年、卒後研修医を1年、矯正歯科基礎研修を2年、矯正歯科臨床研修を3年、大学に入ってから最短でも12年かかってようやく認定医となります。認定医になれば一人前の矯正歯科医です。

LinkIcon認定医試験の詳細はこちら

日本矯正歯科学会指導医になるまで

臨床研修を大学で行った人の場合、認定医を取得した後もそのまま大学に残り、教育研究生活をあと3年続けると、日本矯正歯科学会指導医資格の試験を受けることができます。指導医は、矯正基礎研修、および矯正臨床研修を指導監督する教員としての最高の資格です。多くの人は、この間に博士号に相当する研究をするので、歯学博士の学位を同時に取得することも可能です。
 *入局の時に大学院に入って先に学位を取るというコースもあります。

日本矯正歯科学会専門医になるまで

 日本矯正歯科学会の会員歴が12年を過ぎて、認定医を持つ会員は専門医の試験を受けることができます。矯正歯科の医局に入局してから、最低5年で認定医になれますから、認定医になってから約5年で受験資格ができることになります。専門医になるというのは、臨床家にとっては自分の治療技術が直接評価されるので、大変名誉な資格です。近年医科においては、学位よりも専門医資格の方が重視される傾向があります。今後は、矯正歯科においてもますます専門医の重要性が増してくるものと思います。

LinkIcon専門医試験の詳細はこちら

*専門医になると指導医がなくても臨床研修の指導監督ができるようになります(基礎研修の指導監督はできません)。


イラスト協力 http://www.sozaidas.com/